スーパービジョンとは、カウンセラーが専門職として機能できるようになるために必要な、実践的、具体的な個別の直接的訓練のことです。
キャリア・カウンセリングはカウンセリングの1領域ですので、キャリア・カウンセラーにとってもスーパービジョンを受けることは必須です。それは、キャリア・カウンセリングが目指すのが、生きがいや働きがいといった内的キャリアの探求に関わる心理的援助だからです。
そのような援助は、知的理解や現場での経験を重ねるだけでは困難です。自分の実践を、スーパーバイザーとの対話を通して、内省的に探求することで初めて可能となります。
しかしながら、まだまだ、日本にはそうした機会が不足しています。そこで、JCCでは、スーパービジョンに関するイベントやグループ・スーパービジョンの場などを設けています。
JCCが目指すスーパービジョン
スーパービジョンでは、スーパーバイジー(スーパービジョンを受けるカウンセラー)が、スーパーバイザーとの対話を通じて、心理的援助職としての自分自身の課題に、自分で気づいて自分で取り組む作業を行います。
本人自らが、自分が行うカウンセリングの質をさらに向上させ、クライエントにとって意味のあるカウンセリングを行うために必要なものは何か、どのようにすれば、現在、難しさを感じていることや気づいていなかったパターンを改善できるかなどを、深く、そして実践的に探求することを、スーパーバイザーと協働作業で行っていきます。
「自分自身の課題に、自分で気づいて自分で取り組む」というと、ずいぶんと難しい印象や厳しいイメージを持つかもしれませんが、それを安心・安全な場でできるようにするのがスーパーバイザーの役割です。
スーパーバイザーは、1人ひとりのスーパーバイジーの個性や発達レベルを見極めてスーパービジョンを進めます。個々のスーパーバイジーにとって適切な学習の機会を得るのがスーパービジョンであり、だからこそ、他の学習方法では得がたい本質的な学びが期待できます。
海外では、ベテランのカウンセラーもスーパービジョンを受けることが多いですが、初心者の場合は必ず受けるよう義務づけられています。JCCでは、1人でも多くのキャリア・カウンセラーが、質の高いスーパービジョンを受けられるようになることを目指しています。
*JCCでは、下記のスーパービジョン講座を開催しています*
スーパービジョンとスーパーバイザー
スーパービジョンを以上のようなものだと捉えると、それを提供するスーパーバイザーは、高度な訓練を修了した専門家であることが望まれます。
現在、国内で学術的な基礎を持つスーパーバイザー訓練・認定を行っている組織に、一般社団法人日本キャリア・カウンセリング学会(JACC)があります。JACCでは、平木典子先生を中心に、スーパービジョンの統合モデルであるSASモデル(注1)を研究し、それに基づいたスーパーバイザーの訓練や認定を行っています。
認定されたスーパーバイザーは、数年間に渡る厳しい訓練を修了し審査を通過していますが、JCCでは質の高いスーパービジョンを保証するために、JACCで認定を受けたJCC会員にスーパーバイザーをお願いしています。
(注1)SASモデル:E.L.ホロウェイにより提唱された、学派を超えたスーパービジョンを可能にする統合モデル。近年、世界中で注目されている。
スーパーバイザー一覧(敬称略・順不同)
氏名 | 所属 | 連絡先等 |
浅野 衣子 | (株)キャリア開発サポーターズ |
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小澤 康司 | 立正大学 心理学部臨床心理学科 |
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寺田 正美 | 働く人の心とキャリアの相談室 | |
文川 実 | 日本キャリア開発研究センター(JICD) |
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八巻 甲一 | 日本キャリア開発研究センター(JICD) |
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(1)JCC会員で、一般社団法人日本キャリア・カウンセリング学会の認定を受けたスーパーバイザーを掲載しています。
(2)個別のお問い合わせ等は、各スーパーバイザーに、直接、お願いいたします。JCC事務局でのお取り次ぎはしておりません。また、備考欄に連絡先の記載がないスーパーバイザーは、現在、直接のお問い合わせを停止されています。
JCCが提供するスーパービジョン等
- グループ・スーパービジョン(GSV)
定期的にオンラインでグループ・スーパービジョンを開催しています - リフレクシブ・コンバセーション(RC)
定期的にオンラインで社会構成主義の考え方をベースにしたケース検討を行っています - スーパービジョンに関するイベント
また、スーパービジョンに関するイベント等も不定期で開催しています。詳しいお知らせに関しては、適宜、トップページにバナー等を掲載させていただいていますので、そちらをご覧下さい
参考:平木典子(2017年)、増補改訂 心理臨床スーパーヴィジョン、金剛出版